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建築業界で言う、「どぶづけ」とは何の事?電気メッキやステンレスとの価格の違いはどのくらい?
私は建設業、電気工事業なんですが、建設関係の方だと、だいたい聞いた事があるのが「どぶづけ」。
話しの流れとしては、ここの鋼材(鉄部品)は「焼付塗装」、それとも「どぶづけ」?って感じで会話したりします。
いや、「錆びたら困るからステンレス」でって言うのも良くある話しです。
ステンレスは皆様がご存知の通り、流し台などに使われている、光沢のある錆びにくい金属です。
本当は、建設現場でも全部ステンレスを使用すれば、錆びなくて良いのですが、価格が高くなります。
下記は、電気工事でよく使うD1ダクターの写真です。
上から、通常のメッキ。中央がどぶづけ。下がステンレスです。
「どぶづけ」は「どぶずけ」って言う方もいますが、同じ物の事で、正確には「溶融亜鉛めっき」(ようゆうあえんめっき)と言います。
上記の写真の気になるお値段です。
1:通常のメッキ=1本 1150円
2:どぶづけ=1本 2430円
3:ステンレス=1本 6300円
(注)価格は2014年の定価
上記の各価格のように、同じ形の金属の材料(部品)でも、ステンレスを使用すると、もの凄く価格が高くなってしまうのが分かると思います。
業界ではステンレス(ステン、サス)=価格が高いみたいな感じがあります。
そこで、価格も安くて錆にも強い「どぶづけ」が、建設現場や機械の金属部分によく使われます。
下記写真のガードレールも、実は「どぶづけ」と呼ばれる防錆び加工を施してあります。
雪国の融雪剤にも負けないで、錆びに強い防錆加工です。
溶融亜鉛めっき(どぶずけ)は、新しい時は、光沢がある斑模様(まだらもよう)ですが、雨風にさらされてるうちに、保護被膜作用で表面に酸化被膜ができて、上記写真のガードレールのように、光沢がなくなり少し白っぽくなってきます。
この酸化被膜のおかげで、空気や水を通しにくくして、下地の鉄を腐食から保護します。
また、イオン化傾向の化学的作用にて、下地が少々出るくらいのキズであれば、亜鉛(Zn)が鉄(Fe)より先に溶け出して、下地の鉄が腐食したり錆びたりするのを防ぎます。
下記写真は新品の「どぶづけ」の金属製の材料です。
どぶづけ(ドブ漬け)(溶融亜鉛めっき)とは?どぶづけ加工工程。
電気メッキは色々と種類があるので覚えるのが大変ですが、「どぶづけ」の加工工程は複雑ではありません。
「どぶづけ」は「溶融亜鉛(ようゆうあえん)めっき」と言い、下記の順番で加工します。
加工工程は、JIS H8641によって決まっています。
1:脱脂(苛性ソーダ水溶液で脱脂)
2:水洗い
3:酸洗い(塩酸や希硫酸水溶液で錆びなどの除去)
4:水洗い
5:フラックス処理(塩化亜鉛アンモニウム水溶液に漬け下地処理)
6:乾燥
7:どぶ漬け(高温の溶融した亜鉛槽に漬けます)
8:冷却
と言う順番です。
見た目は下記の写真を参考にして下さい。
上記の写真は「電気めっき」の品
参考価格1個63円(PH1)
上記の写真は「どぶづけ」の品
*ビスはステンレス製
参考価格1個163円(Z-PH1)
上記の写真は「ステンレス」の品
参考価格1個300円(S-PH1)
色による質感の違いが分かります。
価格もけっこう違いますよね!
上記でもお話ししましたが、「どぶずけ」の亜鉛(Zn)は鉄(Fe)よりイオン化傾向が高く、化学的特性で下地の鉄が錆びるのを防ぎます。
*鉄(Fe)より先に亜鉛(Zn)が溶け出して、下地の鉄を腐食や錆びから守ります。
その他の錆び止め対策では、焼付塗装や粉体塗装などがあります。
「どぶづけ」=「溶融亜鉛めっき」の規格。
規格 | 種類 | 付着量 g/㎡ |
参考亜鉛めっき 膜厚値 μm |
HDZ A | 1種 A | 硫酸銅試験 4回 |
28~42 |
HDZ B | 1種 B | 硫酸銅試験 5回 |
35~49 |
HDZ 35 | 2種 35 | 350以上 | 49以上 |
HDZ 40 | 2種 40 | 400以上 | 56以上 |
HDZ 45 | 2種 45 | 450以上 | 63以上 |
HDZ 50 | 2種 50 | 500以上 | 69以上 |
HDZ 55 | 2種 55 | 550以上 | 76以上 |
薄い鉄板に亜鉛膜厚だけを求めると、鉄板が処理時の熱で変形したり、歪んだりする場合があるので、注文前にメッキ業者さんと相談して下さい。
私がよく頼むのは、HDZ35規格の「どぶずけ」です。
頼めば、溶融亜鉛めっきの証明書も発行されると思います。
客先によっては、亜鉛めっきの証明書の提出が必須な場合がありますので、その場合は必ず発注前に確認をしましょう。
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