仕事2(計装工事について)

温度調節器、温度センサの温度表示を定期的な校正で担保する。

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温調器(温度調節器)や温度センサーの校正スパンと性能の担保方法

通常の温調器(温度調節器)は、温調器1台に対して温度センサーが1台です。
*温度調節器⇔温度センサーで1組(一対)

写真

センサー故障などが起これば、温調器の温度表示がエラーになり、不具合に気が付きます。
*ただし、警報送出を自動で行う設定をしていない場合は、人が気が付くまで異常発見が遅れます。

温度が下がるとダイオキシンなどの有害物質が出る焼却炉や、温度が上がると製品がダメになってしまう冷凍冷蔵倉庫などでは、人が故障に気が付いてからの対応では遅い訳です。

例えば、冷凍倉庫でマイナス20℃設定の所、温調器や温度センサーが故障して、警報も出ないまま10℃になってしまったら、倉庫内の冷凍食品などが全て食べられなくなり、商品価値を失って廃棄処分しなくてはなりません。

そうなってしまっては、大損害ですよね!
大規模冷凍倉庫では復旧も考慮すると、億単位の被害になる可能性があります。

よって、温調器本体や温度センサーは、定期的にメーカーへ校正に出してカタログ仕様上のスペック(確度)があるか検査をしてもらう必要があります。

温調器が古いなど、校正を受けられない場合は、温度表示の正確性を担保するために、新品に交換してしまう方法もあります。

校正や新品への交換、どちらも試験成績表が発行が可能なはずですので、後々の為に校正と同時に試験成績表の発行も、メーカーに依頼される事を推奨します。

校正とは、温調器やセンサーがカタログスペック(仕様書)通りか確認する作業だけですので、調整や修理が必要な場合は別途料金になる場合が多です。

校正に出す前に、校正費用の確認を行い。
校正後に別途費用の発生があるかを確認して、最終的に調整や修理を行うかなどを決定します。
(注)ここまでの調査だけにも、通常は調査費用が発生します。

校正とは、本体を外してメーカーに送ったり、校正調査するまで最終的な金額や方向性や期間が決定しないなど、面倒なところがあるのも事実です。

校正や調整(修理含む)より、いっそのこと新品の温調器と温度センサーに交換した方が安くなる場合もありますので、校正に出す前に慎重な検討が必要です。

しかも校正で一番難しいのは、温度表示や制御を担保するための、校正の検査スパンです。

校正を、年に1回行うのか、月に1回行うのかって言う事です。

まあ、これは、設備の重要性で大きく校正の期間(スパン・周期)が変わりますので、ケースバイケースなのですが。
ダイオキシンなどの発生の可能性のある、炉の温度調節器などは校正の頻度も多くなると思います。
温度表示に不具合があると、有毒ガスが出る可能性がありますから。

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私が考える、温度表示や温度制御を担保する方法は、システムを2重化(多重化)する事です。

これはもう、文字通り、もう1組以上、温度調節器と温度センサーを増やすと言う事です。

*例 *温度調節器⇔温度センサーで1組(一対)+温度調節器⇔温度センサーで1組(一対)でシステムの2重化を行い、表示の安全性を大幅に高める事が出来ます。

工場や温調倉庫の全ての温度計を多重システム化すると言うのではなく、校正を考えるほど重要と思われる温度計を多重化します。

下記に、温度調節器と温度センサーを多重化する事のメリットを書いてみます。

1:温調器・温度センサー2重化のメリット

作業者が2つの温度表示器の温度を目視で確認できるため、温度表示にズレがある場合は不具合の発生に気が付きます。
但し、この時点ではどちらの温度調節器が異常か、見た目からは判断出来ません。
仕様によっては、温調器同士で表示のズレを自動で確認して、警報接点をONにする事が出来ます。
多重化の中でも2重化は、一番簡単な相互監視システムを構築できます。

写真

上記写真のように、同じ場所のセンサーは、21.4℃という同じ温度を表示するわけです。
片方が21.4℃で、もう片方が23.6℃なら、明らかにどちらかの温度計組が故障しています。
温度差が有る場合、誰が見ても変だと気が付きます。
それが、2重化のメリットです。
温度計を2台にするだけで、安全性は各段に高くなります。

2:温調器・温度センサー3重化のメリット

作業者が3つの温度表示器の温度を目視で確認できるため、温度表示にズレがある場合は不具合の発生に気が付きます。
しかも、どの温度調節器と温度センサーの組で不具合を起こしているか見た目で確認出来ます。
更に温調器・センサーのつなぎ変えで、その場で不具合箇所の確定診断(断定)も出来ます。
正常な温度計組が2組は残るため、正常な温調器で自動運転も継続出来ます。

3:温調器・温度センサー4重化のメリット

上記、3重化と同じ効果が得られますが、4組の温度調節器・温度センサーで比較するため、3重化よりも格段に安全性が高まります。
勿論、安全性を確保しつつ、正常な温度計組での自動運転も継続可能です。
ただし、費用は2重化の2倍以上もかかる場合もあり、コストランニングが悪くなります。

どうでしたか?

校正も大切ですが、温度計を多重化する方が、突発的な故障に強く、温度表示の正確性(確度)への担保が良好になります。

逆に言うと校正は、校正のした次の日には、温度表示が正しいかの保証はない訳です。
重要部分の温度表示なら、なおさら年に1回の校正では意味がないと思います。

温度調節器を1台追加は、1.5万円くらいからあります。
pt100Ω温度センサーは、1万円くらいからありあす。
K熱電対温度センサーなら、数千円からあります。

冷凍冷蔵倉庫などでは、温度計の故障は致命的です。
だったら、校正よりも、もう一台温度調節器を追加して相互監視しませんか?
制御もPV(現在温度)の比較だけですので、難しくありません。

温調器とセンサーを合わせても、グレードにもよりますが、追加の部品代は数万円です。
一方、温度異常で倉庫の食料品などがダメになってしまった場合の損害は、数十万円?
数百万円?もしかしたら、数千万円の損害も考えられます。

そう考えると、1台温度計を増やすくらいは、安いリスク軽減費用だと思います。

温度調節故障被害のリスクを減らすのために、温度調節器の校正頻度を増やすよりも、温度調節器の多重化を強くお勧めします。

温調器の取付スペースが無い場合は、1台の温調器で2台の温度センサーが接続出来るタイプもありますので、多重化には便利です。制御も独立しているため、故障していないセンサー側だけで、新品が来るまでの間、設備を止める事無く、つなぎ運転も可能です。
また、1本のセンサーで温度情報が2個分出ている「ダブル測温体」と言うセンターもありますので、スペース的な問題がある時は便利です。

また、何か問題や不具合があった時のために、温度記録計の取り付けもお勧めします。
温度記録計があれば、過去の温度記録が残っているので、問題の発生時間や温度状況の履歴が確認出来ます。

写真

上記写真は、温度や圧力、流量を記録する事が出来るペーパーレス記録計です。

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